第33章 episode0
ヤバいな、と思った時には後の祭り。
赤葦に手を握られた。
「…紹介、しなきゃ駄目ですか。俺も、優良物件だと思いますけど。」
冗談のようには聞こえない。
だとすると告白なのか、コレ。
確かに普通に見たら赤葦ってイイ男の部類だとは思う。
背も高いし、顔立ちは整っている方だし。
ただ、私からすると断然クロの方がイイ男で。
こんな未練引き摺ったまま、手近な男で済ませるとか有り得ない。
「…冗談、ですよ。」
返事に迷っている内に、赤葦の手が離れた。
その顔は悪戯っぽく笑っている。
「そ、そうだよね。誰が好き好んでこんな、鶏ガラみたいな女口説くんだって感じだよね。」
不覚にも、ちょっとカッコイイとか思ってしまったのを隠す為に、早口で捲し立てた。
「鶏ガラ…。」
それが、ツボに入ったようで私の事を眺めながら、今度は思い切り笑う赤葦。
こんな状態を見るのは初めてだ。
爆笑とか、するんだな。
その顔を見ていて思うのは、笑い合える関係って良いなって事。
今は、私の体型を笑われている、が正しいんだけどさ。
この家は、笑顔が絶えない家であって欲しい。
「そう。鶏ガラ。いい出汁出ると思うよ、私。」
「ちょっ…。止めて下さっ…。」
だから、自虐的なネタでもなんでも使う。
笑いすぎて息も絶え絶えになっている赤葦につられて、自分も笑った。