第33章 episode0
一頻り笑って、やっと笑いを収めると立ち上がる。
「じゃ、私は部屋に戻るから。お休み。」
「はい、お休みなさい。また、明日。」
挨拶して、部屋から出た。
あぁやって、素で笑える相手。
赤葦も、すでに大切な同居人…家族だ。
さっきの冗談だって、きっと私がふざけた事を言ったからだ。
慣れないだろうに、そんな事をしてくれたのは…。
きっと私がまだクロを好きなんだって気付いているから。
紹介しても、上手くいかないのが分かってる。
紹介しない理由は、口に出せない。
一番手っ取り早い、冗談を冗談で返す方法。
それを瞬時に思い付くのは凄いな。
普段、何を考えてるか分からなくて、話し掛け辛かった赤葦と少しだけ親しくなれた気がした。
立ち去ろうとした時、舌打ちのような音が室内から聞こえた気がする。
まぁ、赤葦がそんな事をする筈はないだろうし、気の所為だと思って部屋に戻った。