第33章 episode0
パーティーが終わり、皆が別行動を始めた頃。
部屋に戻った赤葦を追って部屋に行く。
数回ノックすると、返事があったから部屋に入った。
「赤葦、ちょっと遅れたけど誕生日おめでとう。これ、プレゼント。」
「…有難う御座います。」
ベッドに座っていた赤葦に近付き、持ってきた箱を渡す。
「開けて、良いですか。」
「どーぞ。」
渡してすぐに帰るのは何か変な気がしたから、隣に座って箱を開ける姿を眺めていた。
「…これ、高いんじゃ。」
「値段は気にしなくていーの。私、親の保険金入ってるからお金には困ってないし。」
中から出てきた時計を見て、すぐに出るのは金額の事って色気ないな。
そりゃ、ただの同居人ポジションの異性に高額な物をプレゼントされたら引くのが普通だろうけど。
赤葦の欲しいものなんか分からないから、実用的な物にしただけだし。
そう、ちゃんと説明した方が良いんだろうか。
プレゼントを選んだ理由って、わざわざ言うものじゃないと思うんだけど。
「…お金‘には’って事は、他の何かには困っているって事ですよね。何に困ってるんですか?」
変な事で迷っていると、赤葦の鋭い突っ込み。
言葉の綾だから、深い意味なんか無かった。
返答に困ってる、が現在の状況としては正しい。
でも、それじゃつまらないから馬鹿みたいな事でも言ってみよう。
眉を寄せて嫌な顔をする事しか想像出来ないけど、赤葦とは普段あまり絡まないから。
ふざけた事を言い合える間柄になりたい。
「…男には困ってるかな。赤葦が紹介でもしてくれる?」
冗談だと分かるように、極めて軽く言ったつもりだ。
本気に取って貰おうなんて気持ちは微塵にもない。
それなのに、赤葦は真剣な顔をしている。
じっ、と私を見る眼が、獲物を捕える獣のようで怖くなった。