第33章 episode0
これで、合ってたよね。
赤葦くんが振り返った時に私に目配せしたのは、話にノってくれって意味だったよね。
こんなに落ち込んでる木兎に、私は何と声を掛けたら良いか分からなかったけど。
多分、赤葦くんは立ち直らせ方を知っているんだろうから、話に合わせた言葉を言っただけだ。
でも、この程度で機嫌が直る程に単純とは思えない。
「そーだよな!今、きとりちゃんが酒飲みたかったら、付き合えんの、俺しかいねーもんな!」
前言撤回。
木兎は、そのレベルで単純だった。
しかも、本当に飲みたいと言った訳ではないのに、家を飛び出し、数分で近くのコンビニからアルコールを買ってきた。
「赤葦の歓迎会だ!飲むぞ!…あ、お前等は無理だったな。みせーねん。」
そして、自分がこの家に来た時と同じく、強引に歓迎会を始めようとする。
嫌味のような事を言われた2人は眉を寄せたけど、また落ち込まれるのは嫌なのか、何も言い返さなかった。
「オトナな俺達はコレで乾杯だな。お子ちゃまにはジュースをやろう。」
勝手に飲み物を配り、勿論私にはアルコールを渡してくる。
その流れのまま、やっぱり勝手に会を始めた木兎は…。
「いやー。流石は大人な木兎クン。ガキの俺等とは違うねー。いい飲みっぷり。な、赤葦?」
「そうですね。俺達はまだ飲めませんから、味も分かりませんし。あ、もう一本どうです?大人の、木兎さん。」
2人に簡単にノせられ、潰された。
絶対、ちょっとの年の差で嫌味言われた仕返しだ。
「頭の回るボクちゃん達は怖いね…。」
酔いもあって、つい口から出た言葉は、私も2人を未成年だとバカにした感じになっていて。
「…センパイが美味そうに飲んでるトコ見んの、好きだな、俺。でも、まだ付き合えねぇから、俺の分も飲んで、その顔、もっと見せてくれよ。」
「食事でも何でも、楽しそうにしている女性は魅力的ですよ、熊野さん。」
呆気なく、私も潰された。