第33章 episode0
木兎に同居の話をしたのは、昨晩だ。
だけど、あっさり親の許可が降りたようで、いきなり今日から来ると言う。
いや、こっちの都合くらい考えてよ。
昨日の今日ってアリな展開なの、コレ。
朝起きて、出勤して、仕事している最中に入った連絡に、ただ驚くばかりだった。
だけど、狼狽えている場合ではない。
私事で、仕事のミスをするなんて許されない。
女性の、人生で一番輝く瞬間の、衣装を決める大事な役目。
そんな私が、失敗なんか出来ない。
そうやって仕事に没頭し、木兎が来ることなど忘れていた。
だから、帰宅と同時に驚く事になる。
まぁ、玄関を開けて家に入った途端にクラッカーを鳴らされたら、覚えていても驚くだろうけど。
それを鳴らした犯人、木兎に急かされてリビングに向かう。
そして、そこに入るとテーブルの上には所狭しと並ぶ惣菜の数々。
「なんなの、これ…。」
クロは呆れ顔で、私を見るなり溜め息を吐いた。
「木兎が、こういうの好きなタイプって分かんだろ?自分の歓迎会用意してやがったんだよ。」
「そーゆー事だ!早く座れって。」
寛ぐ間もなく、始まった歓迎会。
ちょっと強引なやり方だけど、これが木兎の魅力だ。
少なくとも、この強引さに救われた事がある私はそう思う。
この家に、新しい住人が増えて。
騒がしい生活が始まった。