第33章 episode0
クロのお許しが出た。
でも、言い方からすると、友達は良いけど、同居人にするのはダメな感じだよな。
説得出来る自信は残念ながらない。
これを推し進めたら、今度はクロが出ていく話にまでなりそうで、怖い。
悩んでいる中、聞こえたのはインターフォンの音。
クロは、不審そうに眉を寄せた。
この家に来客があった事なんて、ないから。
「…なんかのセールスかもな。俺が出るから、センパイは顔でも洗ってこい。」
そう言って、リビングから出ていく姿を見送り、自分も洗面所に向かった。
顔を洗って、少し目元を冷やしてからリビングに戻ると、テーブル脇の席に着いている人がいる。
それは、さっきまで話に出ていた人で。
「きとりちゃん。ちょっとぶり!こっち来いよ。」
呑気な顔で手招きされたけど、タイミングが良いんだか、悪いんだか分からない状況に固まって動けない。
キッチンから飲み物を持って出てきたクロが私に気付いて、木兎と同じく手招き。
それで、やっと我に返ってテーブルの側まで寄った。
その途端に、木兎から押し付けるように差し出された箱。
意味が分からず、受け取る事すら出来ない。
助けを求めるようにクロを見ると、クロが箱を受け取り…。
「あ、ドーモドーモ。ご丁寧に。」
愛想の良い笑顔を浮かべ、小芝居を始めた。
「ばっ!黒尾にやったんじゃねーよ!」
木兎は、それをマトモに受け取ったみたいで、引ったくるように箱を取り返した。
「なんだよ。ウチへの土産だったら、俺が受け取っても良いだろ?」
「駄目だ!これは、きとりちゃんに買ってきた土産だ!」
「センパイに渡したって、どーせ俺が開けるし?」
「何でお前が開けんだよ。」
そのまま、軽く言い合いを始める2人。
なんとなく、収まりそうもない感じがしたから、ただ見守った。