第3章 歓迎会
体格差があるから、簡単には止まらず引き摺られてテーブルの傍まで戻る。
きとりちゃんが、ばんっとテーブルに両手を付いて大きな音を立てた。
「何もされてないから。この人達には、本当に、何も。」
落ち着かせようと頑張って笑顔になった。
「アンタ、分かりやすい作り笑いすんの。本当に嫌な事があった時は。さっきから、下手に笑ってる。」
私の顔を見て、表情を指摘するように指を差される。
「…あ。」
それで、何がいけなかったか理解したらしい木兎さん除く三人が声を出した。
「悪かった。」
「ごめんね。」
「…すみませんデシタ。」
内容は言われなくても何について謝ってきたかは分かる。
約一名、納得してないような謝り方だけど許す事にした。
「…それより、きとりちゃん何買ってきたの?」
謝罪に答えるより、この人の怒りを宥める方が優先順位が高い。
話を切り換えようと出入り口に置かれた袋の山を見た。
「…あぁ、アレ?アンタにプレゼント。荷物捨てたって言ってたから着るものとかないと思って。」
私の顔を観察してから返答がある。
どうやら、作り笑いを消す事には成功したようだ。
「アンタ、結構キレイな顔してるし背も高いし何でも似合うと思ったら止まらなくてさ。」
「この家の人にしたら小さいと思う。女性平均は越えてるけど。」
顔立ちの話はスルーして袋の方に近寄る。
「良かったら着てみて、気に入ったの一着だけでも見せてよ。…ね?」
その声は強制のように聞こえて、先程の怒り様を思い出すと恐ろしく、リビングから出ていった。