第33章 episode0
‐黒尾side‐
夜のバイトを選んだのにはワケがある。
10年なんて、気が遠くなるような月日を待たせる気はサラサラなくて。
大学卒業する頃には、それなりの貯金とかしておいて。
いつ、センパイと何があっても良いように備えておきたかった。
それと、もう1つ。
夜、2人きりで過ごす環境が、俺の精神衛生に宜しくないから。
ふと、淋しそうな顔をされると抱き締めたくなる。
抱き締めたら、その先をシたくなるのは若い男からしたら当然の事で。
意外に身持ちの堅いセンパイは、今は‘彼氏’じゃない俺に身体を任せてくれる訳もねぇし。
何かしたら、関係が一気に崩れんの、分かってる。
だからやってた、時給が良い夜のバイト。
だが、それで今現在の関係が危うくなるなら意味がない。
他のバイトでも探そうかと、情報誌を開いていた。
ガテン系のバイトなら、時給も良さげで、疲れるからソノ気も起きなくなるか?
そんな事を思いながら肉体労働の特集ページを読む。
リビングでそんな事をやってたもんだから、横からセンパイが覗くように雑誌を見て。
「別に、バイト変えろとまでは言ってない。」
俺の手からそれを奪い取っていった。