第33章 episode0
多分、着替えとかあるから、帰ってくる筈だ。
バイト先から直接学校に行ったりはしないだろう。
時間も早すぎるし。
その予想通り、クロはそれからすぐに帰ってきた。
「…タダイマ。センパイ、何?俺の事待ってた?」
「うん。待ってた。でも、待つのって、キツいね。帰ってくるって思ってる人、帰って来ないの、辛いね。」
本当はクロの事を言ってるんじゃない。
だって、クロは遅くなるとは言ってくれていた。
朝までなら、連絡して欲しいとは思ったけど。
今までだって、遅くなると言われていた日は帰ってこない時だってあった。
そもそも、帰ってくるのを期待する方が間違い。
ただ、騒がしい人と居た後の静かさに耐えられなかった私が悪い。
まだ、空も薄暗い今の時間。
電車も動いてないだろうに帰ってきてくれたのは、私が寝ている間に戻りたかったんだろう。
そういう、気遣いはちゃんとしてくれているんだ。
「…悪ィ。」
多分、クロも分かってる。
これは、私の八つ当たりで。
本当に帰ってきて欲しいのは、クロじゃなくて。
私の両親だって事を…。