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第33章 episode0


クロの顔を見ていられなくなって俯いた。
近付いてくる足音が聞こえて、顎を掴まれ顔を上げられる。
間近にクロの顔があった。

「やっぱり、淋しいんだよ。独りの家は。…私ね、この家、売るの。家族との思い出も、アンタとの思い出も、お金にするの。」

視線に負けて、誤魔化しきれなくて。
涙が溢れる。

「センパイは、それで良いのか?」

真剣な目と声。
私の、本当の意思を確認しようとしているのが分かる。

「良く、ない。良くないけど、一人でこの家に住んでたら、私はきっと死んでしまう。
木兎が私に声を掛けてきた理由、ね。私が死にそうな顔をしてたからなんだって。他人に、見破られるくらいなんだよ。もう、限界なんだ。」

涙は止まらなくて、それを拭う事すら出来ない。
泣き止むまで、クロは黙って私をずっと見てた。

泣き疲れて、眠気が押し寄せてくる。
子どもをあやすようにクロに髪を撫でられて、意識は今にも飛びそうだった。

「…大丈夫だから、な。」

優しいその声を聞いた時、何故だか安心してしまって眠りに落ちた。
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