第33章 episode0
結局、酒を飲んだ上で興奮し続けた木兎が倒れかかって言い合いは終わった。
殴り合いにはならず安心した。
「じゃあ、木兎連れて帰るわ。迷惑掛けて悪かった。」
フラフラの木兎を支えながら、クロが出ていこうとした。
クロと木兎は大して身長も変わらないし、体格でいえば木兎の方が少しだけ良く見える。
歩こうとすらしない木兎を連れて帰るのは大変な作業だと思った。
「そんなんじゃ、連れて帰るのも大変でしょ。うち、部屋空いてるよ。」
「あのな、センパイ、自分がどういう目にあったか分かってんの?」
「だから、クロも一緒に泊まれって言ってんの。」
クロは少し考えてから盛大な溜め息を吐き出した。
木兎を引き摺るようにして家に上がってくる。
短い間でも暮らしていた家だから勝手は分かっていて、迷わずリビングに入っていった姿の後を追った。
木兎をソファーに寝かせて、私を振り返った。
「…センパイ、あんな隙がある女とは思ってマセンデシタ。見損ないましたよ。」
「敬語、気持ち悪いから止めて。」
内容よりは言葉遣いを突っ込んで、スルーしようとしたけど、上手くはいかなかったようで。
じっ、と怖いくらいの目で私を見ていた。