第33章 episode0
男を部屋に入れるリスク、分かってなかった私が悪い。
結構前にクロに言われた台詞を思い出して。
ついでに、いつでも私を心配してくれていたクロの顔も思い出して。
涙が出そうになるのを耐える。
体を触られる事に不愉快な感じがしないのは、自分が淋しかったから。
どうせなら、この場の情事に身を委ねてしまおうと思った。
だけど、すぐに行為は中断となった。
鍵を閉めていなかった扉が開いた事によって。
「…クロ。」
現れた人は、こんな状況を何より見せたくない男。
その目は据わっていて、殺気すら放っているようにも見えた。
黙ったまま、こちらに一歩踏み出したかと思うと、木兎の尻を蹴り飛ばした。
「…いっ、てぇー!何すんだっ!」
「それはこっちの台詞だ。何やってんだよ。」
「何、ってそりゃ、ナニしてんだよ!」
起き上がった木兎とクロが目の前で言い合いを始めていた。
木兎は酔いもあるのか今にも殴り掛かりそうだし、クロだって言葉こそ荒げてないけど、不穏な空気を纏っている。
木兎が退いた事で、背中の痛みはあるものの自由になった体を起こして服を整えた。
二人を止めたいけど、私も飲んでいるし背中も痛い。
動けないまま、成り行きを見守るしか出来なかった。