第3章 歓迎会
どうせ質問なんかないだろうと、周りを見ると月島さんが意地の悪い笑顔で手を小さく挙げている。
あまり人に興味がなさそうなのに意外だけど、それよりも笑顔の意味が気になった。
「はーい、じゃあ質問。りらさんは、就職組でしょ?何で辞めたの?後、親じゃなくてなんで従姉妹に頼って来てるんですかぁ?」
嫌な質問。
この会を早く抜ける為にわざとやっていそうだ。
「セクハラに耐えかねまして。職人の世界は男性が多いですから、女は色々と大変なんですよ。
親とは、就職を期に絶縁状態ですね。無理して私立高校まで出したのに専門行くでもなく職人の世界に、しかも住み込みで入るのを大反対されまして。」
思い通りにするのは悔しくて、さらっと何でもない事のように答える。
黒尾さんがほっとした顔をしたのを見逃さなかった。
知ってるからこの質問にはどきっとしただろうな。
「色々と、って何があったのか知りたいんですケド?」
質問はまだ続いた。
黒尾さんは多分、話を変えようと今度は必死になるんだろう。
私は答えても良いけど他の人は引くよな、と黙って話題を変えてくれるのを待った。