第3章 歓迎会
何、この状態。
私から自己紹介とか始めたらいいの?
でも名前は皆さん知ってるだろうし。
「はいはーい!じゃ、俺が仕切りまーす。」
静かに会が進む為、何本かの缶を空けてしまった頃、黒尾さんが突然立ち上がった。
「これが、熊野りらちゃん。二十歳…だったよな?学年でいえば月島と同い年だと。家主のセンパイのイトコで、今日から同居します。」
私の両肩に両手を乗せて私の紹介を始める。
その情報は皆が知っているもので、あまり意味がない。
「ほら、お前も挨拶しろよ。立って立って。」
無理やり盛り上げようとしてるのか必死だ。
「これから宜しくお願いします。」
立ち上がりはせずに頭だけ下げて挨拶をする。
「おー。宜しくな!」
木兎さんが食べている手を止めて返してくれた。
口に入っていた物を飛ばしそうで、隣の月島さんが迷惑そうな顔をしている。
結局それだけで話は終わってしまい、また静かにただ飲み食いする時間になってしまった。
「…何かご質問はー?」
この空間に耐えきれずに黒尾さんがまた進行を始める。
「記者会見じゃないんですから。りらも喋らないのはゆっくりしたいんでしょうし。」
「いいだろ。これから一緒の家に住むのに知りたい事とかねぇの?」
赤葦さんが突っ込みを入れたものの、聞き入れては貰えず何故か質疑応答の時間になった。