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第33章 episode0


話が出来なくなった調度良いタイミングで私が呼ばれて、次があるかも分からないのに、また、と再会を希望する言葉を残して離れた。

その後の不動産屋との話は私にとって都合の良い事なんてまるでなかった。
向こうからしたら、安く買い叩きたいんだろうし、不動産に対する知識のない、若い女性を丸め込もうとしているのが見て取れた。

話をするだけして保留のまま、不動産屋から出ていくと近くの喫茶店から声が聞こえる。

「…クローくん。」

テラス席から手招きしてるその人は、何故か私を待っていたようだ。
別に急ぐ用事もなかったから近寄って、テーブルを挟んだ向かいの席に座る。
テーブルの上には物件の資料が散らばっていた。

「待ってたの?何か用?」

私の質問を聞いて彼は資料の内の何枚かを見せるようにこちらに向ける。

「大学近いトコで探してるんですけど、どの辺りが住みやすいか意見聞きたいと思いまして。センパイ、この辺でしたよね。」

成る程、見せられた資料に書かれている最寄り駅は全部同じだ。
運が良いのか悪いのか、私の家と同じ駅。

「…この駅使うなら西口側の方が良いよ。家賃もお手頃。東側は、再開発でデパートとか増えてきてるから高いしね。
まぁ、駅からの距離気にしないならどちら側でもさして変わらないか、な。」

家の近くだから、どんな場所か想像するのは簡単で、学生ならば一番に気にするだろう家賃に重点をおいて話をした。
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