第3章 歓迎会
リビングには家主以外の全員が揃っている。
歓迎会を言い出したその人は、遅くなるから先に始めて、なんて無責任なメールだけ送ってきた。
皆、テーブル脇の椅子だったり絨毯の上だったりソファーだったりと別々に座っている。
纏めるだけでも大変そうだ。
自分の歓迎会の用意をして、更に先に始めるから音頭をとれ、とか有り得ないでしょ。
「なー!きとりちゃん、遅いんだろ?そろそろ始めようぜー?」
相変わらず空気は読んでくれない木兎さんがしびれを切らしている。
「…じゃあ、もう始めますか。皆さん何飲みます?」
冷やしている飲み物を配ろうと冷蔵庫を開けながら聞いた。
「お前な…。今日は主役だろ?何もてなし側やろうとしてんだよ。」
「俺がやるから座ってて。月島も、こっち寄って。」
動いてくれたのは黒尾さんと赤葦さん。
黒尾さんに手を引かれて椅子に座らされた。
赤葦さんに言われて月島さんもテーブル脇に寄ってきた。
世話焼きが二人いるお陰で動かなくて良さそうだ。
赤葦さんが適当に出した缶をそれぞれ手に取り、乾杯をした。
木兎さんはやっと食べ物に手を付けられて満足そうな顔をしている。
普段、よく喋るこの人が食に集中してしまった為、会は始まったのに静かだ。