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第32章 始まりの、この場所で(木葉エンディング)


視線を辿って、自分も階下に目を向ける。
そこには、当たり前のように、あの2人が居て。

「流石に、ダチの前でそこまでイチャイチャすんのは、な。」

木葉さんが、キスすらしてくれない理由が分かった。
ついでに、この再会が仕組まれていた事も理解した。
考えてみれば、ここで木葉さんともう一度出会うなんて偶然、簡単に起こりっこない。
運命とか、ロマンのあるものをあんまり信じていないから、2人が何かした事は分かる。

それで、腹が立ったりはしない。
寧ろ、嬉しいのだ。
元々仲間だった木葉さんと、あの2人。
私の所為で、気まずくなった筈の人達が、また友人として動いてくれた。

嬉しすぎて、何を言えば良いか分からなくなって。

視界が、滲んだ。

「…え、あ、ちょっ!泣くな、って。」

目の前で狼狽えだした木葉さんに抱き着いて顔を隠す。
泣き顔とか見られるのは恥ずかしいから。

木葉さんと私に体格差はあまりない。
その上、不安定なしゃがんだ状態だった木葉さん。
尻餅をついてしまって、膝の上に座る格好になった。

これも、やっぱり友人の前でイチャついてる事になるかな。
払い除けられたら、どうしよう。

そんな不安はいらなかったようで。
あやすように優しく頭を叩かれた。

この軽く叩く感触は、私達が経験した、擦れ違って離れた2回の別れの最後と同じ。
今は違うと分かっているから、安心出来る。

でも、そんな時間は長く続かないようだ。

階段を昇る、2人分の足音が聞こえて。

「いい加減にして下さい。」
「なーにが、ダチの前でイチャイチャ出来ねーだ!さっさと離れろ!」

ちょっと怒ったような2人の声と共に引き離された。
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