• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第32章 始まりの、この場所で(木葉エンディング)


私はここで、木葉さんのものになりたい。
心だけじゃなくて体も、全部。

「木葉さん、シたいです。」

どうやって誘えば良いか分からないから直球勝負で言葉にした。

木葉さんの方は、驚いたみたいに目を何回も開閉してる。

「…あの、さ。俺ね、正直言うと、ココで熊野と、って妄想は何回もしたワケよ。ほら、高校生って妄想もオサカンだし。
でも、な…。」

やっと聞こえた返答はお断りのようだ。
妄想してたなら、それを現実にしたって減るもんじゃないだろ。
そんな事を考える、親父思考の私。

「ココって、俺等が出会った大切な場所じゃん?綺麗な思い出の場所にしておきたいワケ。」

どうやら、木葉さんは、女の私より女みたいな思考のようで。
いや、男性の方が意外にロマンチストらしいから、これが普通なのか。

変な納得の仕方をして、ここでナニかをするのを諦めていた私の頬に柔らかい感触。

「だから、これだけでカンベンな。」

木葉さんは、口元を隠して照れたように笑っていた。

キスをされたのは分かる。
でも、どうせなら唇にしてくれないものか。

「…こっちは、嫌ですか。」

唇を触って場所を示す。

私から、唇を奪っても良かったけど。
ただでさえ、私の方が度胸があると言われたばかりで、こちらからしたら男のプライドに関わりそうだからしない。
いくらなんでも、それは可哀想だ。

「嫌ではない…ん、だが…。」

まだ渋られて、これが駅前でキスした男と同一人物なのか疑った。
あんな場所で、キス出来るんだから、ここでしても良いじゃないか、とまで思った。

木葉さんの視線が、階下に向いている事に気付くまでは…。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp