第32章 始まりの、この場所で(木葉エンディング)
‐木葉side‐
赤葦とした、賭け。
それは、熊野がこの場所に1人で来るかどうか。
来ないなら、そもそも俺と出会った場所になんか何の思い入れもない。
木兎や、赤葦を連れてくるなら、ただ3年間飯食ってた場所へ思いを馳せたいだけ。
1人で来るなら、俺を少しでも思い出してる証拠。
アイツ等の前では、俺の名前を出さないように気を遣ってるらしいから。
俺の事を考える為にしか、嫌な思い出しかないだろう学園で、1人になるなんて有り得ない。
賭けの内容がコレなら、俺の勝ち、で間違いねぇよ。
他のヤツ…木兎や赤葦と居ても、俺を思い出す事を選んで1人になってくれたんだから。
驚いたのか、黙って見上げてくる熊野の前にしゃがむ。
俺も大分マイナス思考だが、コイツはその上をいく。
だから、2度ある事は3度ある。
また、お互いにはっきり伝えずに傷付け合うんだって思ってる筈。
な、知ってるか。
同じ回数を表しても、プラス思考になる言葉があるんだぜ?
「なぁ熊野。3度目の正直って言葉、知ってる?」
正直になるのは、自分の気持ちに。
1度目は、先輩と後輩。
2度目は、オトモダチ。
3度目は、彼氏と彼女。
そう、なりたいんだ。
だから、今回こそ、伝えさせてくれ。
1度も言っていない、言葉を。
始まりの、この場所で…。