第32章 始まりの、この場所で(木葉エンディング)
私は、誓ったんだ。
幸せになるんだって。
その為に、少しずつでも前に進むんだって。
それなら、そこには行かなきゃならない。
気持ちに決着をつけてこよう。
逢瀬を重ねた、あの階段で。
「行ってきて良いですか。」
1人で、行きたい。
他の誰にも、踏み込んで欲しくない大切な場所。
言葉の使い方で、それを伝える。
「いっておいで。」
「俺達は待ってっから、な!」
決意の籠った目を向けると、分かってくれたようで、2人とも笑ってくれた。
「有難う御座います。」
頭を下げて教室から出る。
「…良かったんですか、木兎さん。」
「いーんだよ。今のりらちゃんなら、幸せになれんだから。」
「俺もりらが幸せなら、それが良いです。」
「…負ける、って分かってた勝負だったな。」
「そうですね…。昔も、今も、りらが選ぶのは、あの人だけ、なんですから。」
そんな会話を2人が交わして、赤葦さんが誰かに連絡した事など知らなかった。
勿論、この後に私に起きる出来事が、仕組まれていた事も…。