第2章 明くる日
木兎さんの隣にしゃがんで、顔を覗き込む。
「あの、木兎さんにしかお願い出来ない事があるんですけど、良いですか?」
木兎さんは、期待に満ちた顔をしていた。
「木兎さん、私じゃ持てないのでお酒を買ってきて頂きたいんです。人数分となると、結構な量になってしまいますし。」
「木兎さんの力は俺とは比べ物になりませんから。俺からもお願いします。」
赤葦さんのアシストにより、木兎さんは復活して勢いよく立ち上がる。
「俺って頼られてるー!じゃ、いってきまーす!」
五月蝿いくらいの声を出して、何を買うかも聞かずに出ていってしまった。
「…単純なんですね。」
「単純だよ。あの人は。」
背中を見送った後、どっと疲れが出てきた。
あれの管理はさぞ大変だっただろうな、なんて思いながら隣の人を横目で見る。
「…何?」
「何でもありません。片付けの続きしますんで、ゆっくりしていて下さい。」
まだ残っている洗い物を終わらせようとキッチンに戻った。
「手伝うよ。」
「片付けまでが料理です。こちらは良いので、カウンターの料理をテーブルに運んで貰えますか?」
キッチン側に入って来ようとするのを止めて、片付け以外の手伝いを頼む。
作業している場所に人が来るのは苦手だ。
慣れた人じゃないと逆に邪魔だし、とは言わないけど。
無駄に喋らず別々の作業している間にきとりちゃん以外の人達は帰ってきた。