第31章 似た者同士(月島エンディング)
やり過ぎた、なんて後悔しても遅くて。
こういう時にフォローしようとすると、失敗する事しか思い浮かばない。
本当に終わってしまう、と思ったら涙が出てきた。
「…後ろで鼻啜る音とか立てないでくれない?寝れないんだけど。」
「ごめっ…。でも涙、止まんない。」
「…りら、イエスかノーで答えて。」
こっちを向いてくれたと思ったら、まだ機嫌の悪い顔で更に涙が出る。
月島くんが起き上がって、私に向き合う形で座った。
「泣いてるのは、僕が怒ってるから?」
「ノー。」
怒らせたのは、私がやり過ぎたのが悪いからそれを理由にして泣くのは反則だ。
「じゃあ、関係が終わるのが嫌で泣いてるの?」
「イエス。」
「そんなに、僕が好きなんだ?」
「イエス。」
続く質問は迷うことなく肯定する。
月島くんのご機嫌は治ってきたようで、口元が笑っていた。
「じゃ、涙止めてあげるよ。」
その言葉の意味を理解する前に、唇が重なった。
そのまま、体重を掛けられてベッドに沈む。
その後は何の確認も、質問もなくて。
曖昧で疑わしかった関係を本物にした夜になった。
私達はお互いに不器用で、言葉で伝える事が苦手なのだと思う。
この不器用さは、距離という問題がある私達にはとても不利になるものだ。
それでも、重要なのは終わらせない為に伝えようとしてみる事で。
それが涙だとか多少狡いものであったとしても、賢い彼は汲み取ってくれるから。
遠距離恋愛でも頑張ってみようと思えた。
月島エンディング‐end.‐