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第31章 似た者同士(月島エンディング)


‐月島side‐

自分が嫌になるよ。
この程度で、嫉妬するとか子ども過ぎデショ。

機嫌が悪いのは、自己嫌悪してるだけ。
りらの鈍さは分かっていたから、他の男の名前出すのに悪気はない。

こんな事で喧嘩して、明日帰らしたら、自然消滅するよね。
会うの、難しいんだから。

他の男の名前が出されたくらいで嫉妬する程に君が好きなんだ、って口に出せばいい?
キャラじゃないから、やりたくないよ。
それに、それで納得して喜ぶ女って感じじゃないよね、君は。

溜め息を吐いて顔を見ると、予想外の事が起きていた。
りらが、泣いている。

泣かせたのは、確実に僕で。
何を言ってやれば良いのか分からない。

これだから、女って面倒臭い。

取り合えず手で、涙を拭ってやる。
自分が泣いていた事にやっと気付いたのか、慌てて手を離して目元を擦っていた。

涙を止めようと、必死な姿に煽られて。

「僕の機嫌で泣いちゃうくらい、僕が好きなんだ?」

意地の悪い事を言いたくなった。

可愛らしい反応は期待してないよ。
顔を真っ赤にして、表情で肯定してくれるような素直な女じゃないって、知ってるから。
寧ろ、言い返してくれない?
君がメソメソしてるの、似合わなくて気持ち悪いカラ。

あぁ、もう。
僕も素直じゃないな。
たまにしか会えないんだから泣き顔なんか見たくないって、なんで想像ですら言えないワケ?

また自己嫌悪で機嫌が下降して眉を寄せる。
それを見て、りらは逃げるように車に乗ってしまった。

君の所為じゃない。
些細な嫉妬。
素直じゃない自分。
それに腹が立ってるだけ。

出るのは、言葉じゃなくて溜め息ばかり。

このまま東京に帰したくない。

時間がないから手段なんか選んでいられなくなって、実家に連絡を入れた。

最後の夜は2人で過ごすから帰らないって、それだけ伝えて電話を切る。

車に乗り込んで横を見るとりらは、泣くなんて珍しい事をして疲れたような顔をしていて。
わざと、ゆっくり走らせた車の中で、都合良くりらが眠った。
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