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第30章 執着心への執着心(赤葦エンディング)


それを聞いた京治は、何回も瞬きをした後…。

「…ふっ!くくっ!」

耐えきれなくなったように、声にまで出して腹を抱えて笑いだした。

一頻り笑った後、仕事用の鞄から一冊の、日記と同じサイズのノートを取り出している。

「りらが、そこまで俺の事を好きになるなんてね。俺が、りらを見なくなると思う?前のは、見られてるの気付いてたから新しくしたんだよ。」

示すようにヒラヒラとされているノートをあっさりと渡される。
見てもいい、と言われてそれを開いた。

【やっと手に入れた。】

初めの一文がすでに危ない言葉だ。
閉じてしまおうと思ったけど、前の日記と違う異質な感じがして、読み進める事にした。
箇条書きではなく文章で、付き合い始めた日…つまり体の関係を持った日の事が書かれている。
私の反応、声、表情、まるで官能小説かのように事細かに記されていた。
そのページの最後まで読みきる。

【俺の初めてをりらに捧げられて良かった。】

締め括りの言葉に少しだけ驚いた。

でも、なんか納得だ。
セクハラ発言とかするワリに本気で手を出そうとはしてこなかったし。
なんとなく、中高生の妄想で喜ぶようなTHE萌えみたいな格好が好きだし。
何より、ずっと私を見てくれていて、他の人に目を向ける暇なんか無かったんだろうな。

「りら、別れる?」
「別れない。」
「そう。…じゃあ、仲良くしようか。」

ノートに気を取られている内に後ろに座られていた。
声が妖しい感じがして振り返ると捕食者のような目をして私を見て、シャツの裾から手を入れてきている。
隠語というか、表現として行為を‘仲良し’と言う人がいるのは知っていた。

「別れ話の後にすぐコレ?」
「嫌なら止めるよ。」
「…イヤじゃない、です。」

仲直りの証明みたいに行為をする人がいる事も知っている。
だからオーケーを出したけど、慣れた敬語を使ってしまったのが気に食わなかなかったようで。
少し手荒に床の上で抱かれた。








赤葦エンディング‐end.‐
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