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第30章 執着心への執着心(赤葦エンディング)


片付けを終えて、シャワーを借りる。
着替えなんか持ってきてないから、服は借りた。
黒尾さんの服で彼シャツをした事はあったけど、今回は本当の彼氏のシャツで。
下着も替えがないから着けてない。
赤葦さんがいかにも好きそうな感じである。
下はジャージだから色気なんかないけど。

髪を拭きながら部屋に戻ると、すでに布団が敷かれていた。
独り暮らしなんだから、当たり前といえば当たり前なんだけど、一組しかない布団は卑猥な事を想像するのに充分だ。

入れ替わって風呂に行く姿を見送ると布団の端に腰を下ろす。
先に横になるのも悪い気がして部屋の中を眺めていると、テーブルに小さなノートが置かれていた。
さっきまでは無かった筈のものがそこにある。
なんとなく気になって、ノートを手に取った。

中身は日記だ。
私がここに来た日、作った食事、話した会話、やったゲーム。
この部屋に来ていない、つまり会わなかった日も、何故かバイト先であった事なんかを知っていて、記載されていた。
そんな、私に関連した事ばかりが箇条書きで書かれている。
怖い、とは思えなかった。
寧ろこのノートの存在自体が私を見ていてくれている証明で、嬉しささえ感じる。

風呂場の扉が開く音が聞こえて、慌ててノートを元の位置に戻した。

寝る時は裸族なんて自分で言ってるその人が、パジャマとか着てくる筈はなくて。
一緒に暮らしていた時から何回も見ている身体に見惚れてしまった。
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