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第30章 執着心への執着心(赤葦エンディング)


恋人、なんて肩書きがついたからって簡単には変われない。
そう思っていたのが間違いだった。

「今日は泊まっていくよね?」
「まぁ、遅いですし。赤葦さんが良ければ泊まらせて下さい。」

片付けをしながら、ごく普通に会話をしている。
そのつもりだったのは私だけのようだ。
何が怒りに触れたのか分からないけど、一瞬だけ眉間に皺を作っていた。

「…前に、言ったと思うけど敬称とか敬語って壁だと思うんだ。俺は、りらの何?」

私の口から、恋人だ、と言わせたいんだろう。
怒りの理由も、そう伝えられているにも関わらず敬語を使って、敬称を付けて呼んだからだ。
この程度の事で怒らないで欲しい。
始まりがこんな感じだから、徐々に変わるんじゃ駄目なのか。

「少しずつでも、恋人らしくなるように努力はする。ただ、すぐに変えるのは難しいから…癖で壁を作ったらごめん。」

変えやすいのは敬語から。
やっぱり赤葦さんに対して、普通に喋るのは慣れないけど、自分で付き合う事を選んだのだから頑張ろうと思う。

「それでいいよ。でも、呼び方はすぐにでも慣れて。りらはいつか、俺と同じ名字になるんだから。」

さらっとプロポーズのような事を言われたけど、それは気にしない。
前から冗談でこういう事は言われてたし。
もう、お断りします、は言えない関係になっているんだけど、数分前に付き合い始めたばかりで婚約する気もない。
無言を回答にしておいた。
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