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【HQ】sharing.

第30章 執着心への執着心(赤葦エンディング)


結果は本日も完敗。
飲み物を買いにコンビニに行く事になった。

それほど遠くないコンビニに行くのに赤葦さんは必ず一緒に来てくれる。
夜道といっても街灯があって明るいし、危険はあまりない筈なのに心配性だと思う。

あまり無駄話は得意ではないから、2人とも殆ど無言で買い物を済ませて家に戻った。
いつもなら、買ってきた飲み物を飲むだけ飲んで、家まで送ってくれる。
でも、今日は違うようだ。

「りら、明日のバイトは?」
「休みです。」
「じゃあ、もう一回する?」
「いいですよ。」

テーブルゲームの類いは時間もかかるものが多い。
だから、私が帰る時間を気にして毎回一戦だけで済ませる。
だけど、何故か二回戦目を申し込まれた。

一度片付けようとしていたボード、コマ、サイコロを出して向かい合わせに座る。

「…何か賭けます?」
「そうだね…。」

準備をしながら、顔も見ずに会話をする。
酒代、はもういいだろうから別のもの。
内容は赤葦さんに任せる事にした。
悩むように口元に手を当てて窺うように私を見ている。

「…1つ、いい?」
「なんですか。」

聞こえてきたのは、質問だった。

賭けに関係する事かは分からないけど、答えないと話が進まない気がする。

「…木葉さんの事。後悔してない?」

久々に出たその名前に、心臓が鷲掴みにされたような感覚に襲われる。

「なんで、あの時…一緒に出ていかなかったの?」

答え方が分からずにいると質問が増えた。

「なんで、押し付けるなって俺達を怒らなかったの?
りらに危害を加えたから許さない、は俺達の‘正しい’判断で。それを押し付ける事自体はりらにとって‘正しい’事だった?」

質問が重なり続ける。
まるで、私を責めているみたいだ。
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