第30章 執着心への執着心(赤葦エンディング)
私の父親に接触する為にバイトをしていた店の影響か、赤葦さんはいくつもアナログなゲームを持っていて。
人との読み合いに長けている彼は少しそれにハマっているようだ。
「いいですよ。」
因みに、頭も良くない、人の顔色を窺うワリに失敗の多い私が赤葦さんに勝った事はない。
それでも承諾するのは私自身が父の影響もあってそういったゲームが嫌いじゃないから。
それと…。
「今日は何を賭ける?」
「どうせ負けるのは私ですが。…今回も酒代で。」
賭け事も嫌いじゃないから。
どうしてこうなったかと言うと、私があまりにもやる気がなさそうだったからだ。
負けても悔しがりもしないし、顔にあまり出ないから真剣さを感じないんだろう。
ゲームであれど勝負事。
負けてもいいと思っている私相手にしても楽しくなかったのか、赤葦さんが賭けを提案してきた。
‘りらは何か賭けたら必死になるのかもね。例えば好きなもの、お酒とか。’
それに乗って、0勝のまま現在に至っている。
まぁ、赤葦さん宅にある酒類は私が大量に消費するから、実質自分の飲み物を買っているだけなんだけど。
一度くらいは赤葦さんに勝ちたい。
お金が掛かる事は嫌いだけど、負けて奢り、を繰り返すと感覚は狂ってくるようで。
絶対に今回こそ奢らせてやる、と意気込んでいた。