• テキストサイズ

【HQ】sharing.

第29章 ○○のような存在(黒尾エンディング)


黒尾さんは、質問に答えてくれなかった。
でも、撫でてくれる手が気持ち良くて、涙が止まるまで時間は掛からなかった。

落ち着くと、襲ってくるのは羞恥心。
裸を見られるとか、シモの関係では薄いそれが、こういった所では出るようで。
顔を見られたく無くて下を向く。
その視界に入るように、膝に乗せられた箱。

「今日の一緒に居たのは、ダチの嫁、な。コレ買いに行くの、付き合って貰ってたんだよ。」

私に渡すって事は、プレゼントだろうか。
物を貰うイベントの日ではないのに。

受け取り拒否するように箱を黒尾さんの胸に押し付ける。

「あのな、お前の為に買ったもんなの。お兄ちゃんからの好意くらい素直に受け取りナサイ。」

ズキッと。
また心臓が傷んだ。

手から力が抜けて、箱が下に落ちる。
それを拾う為にしゃがんだ黒尾さん。
下から、私を見上げるような状態で、眉を寄せている顔が見える。

「ンだよ。泣く程イヤなの?俺からのプレゼント。」

拾った箱を持ち、黒尾さんが立ち上がる。

言葉で分かる、また泣いているという事。
そんなに嫌な訳ない。
私の為にしてくれた事を、嫌がる訳はない。

首を振って否定した。

「じゃあ、なんで泣くんだよ?」
「…分からない、です。」

分からない。
本当に、何も。

「何が分かんねぇんだよ?」

この人なら、答えてくれる。
教えてくれる。

そう、思ったから、分からない事だらけの、この数時間の間に起きた出来事を話した。
/ 577ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp