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第29章 ○○のような存在(黒尾エンディング)


‐黒尾side‐

その日は大学時代の友人達と、飲み会だった。
何人も集まって飲むのは久々で、それなりに楽しんでいる中で。
隣に座ってるヤツが、なんか別の席をじっと見てた。

「何してんだよ?」
「あの席、めちゃくちゃイイ女いんだよ。もう、モデルみてぇな。」

そんなイイ女なら、見てみたい。
興味にかられて視線をやった先には、見慣れた女…りらがいた。

何やってんだアイツ。
人付き合いが出来ないタイプだってのに、よくこんな居酒屋来てんな。

気になって、その席の様子を見る。
りらを含めた女が3人並んで座ってて、向かい側には男が3人。
合コン的な、飲みに見えた。

人数合わせで連れてこられたな、アイツ。
あんな、キャピキャピした女は苦手だろうから、友人じゃねーとは思う。
バイト関連、か。
下手に手助けしねぇ方が良さそうだな。

そう、思ってたが…。
事情が変わった。
席替えしやがった。
今はりらの隣に男が座ってる。
グイグイと話し掛けられて、固まってる。

あ、これ。
アイツ、断りきれなくて食われるわ。
俺等には拒否ったり出来るようになってきた、とはいえ基本は何も言い返せないネクラなんだから。

「ちょい、便所。」

断りを入れて席を立つ。
運良く、アイツ等の席は俺等の席よりトイレに近い場所で。
あっちに行くのも不自然じゃない。

どうやって、アイツを連れ出そうか、なんて考えながら目的の席へと近付いていった。
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