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第2章 明くる日


買い物をしながらメニューは決めてある。
頭の中で手順を考えて、その通りに動いていった。

次々に出来ていく料理を綺麗に盛り付けてカウンターに置いていく。

全てを作り終えて使った器具を片付けていると、カウンター周辺で動く気配を感じて振り返った。

「…つまみ食いは禁止です。」
「ぎくっ!」

子どもみたいな事をする人だとは思っていたけど、まさかここまでとは。
呆れた溜め息を隠しすらせずに吐いて近付いた。

「ぎくって口で言ってどうするんですか。子どもですか、貴方は。」

料理に手を付けられないよう、カウンターと木兎さんの間に手を伸ばす。

「一個くらい…。」
「駄目です。」

数を示すように指を一つ立ててねだる姿にも即答で断った。
途端に元気を無くしてその場にしゃがみこむ木兎さん。

これが噂のしょぼくれモードか。
高校の頃、聞いてはいたけど実際に目にすると面倒なものだな。

「ただいま。…木兎さん、また何かやらかしたんですか?」

どうしようか考えていると赤葦さんが帰宅してきた。
今の状況を見て呆れた顔をしてこちらに歩み寄ってくる。

「凄いね、これ。全部作ったの?」

近寄ってからカウンター上の料理に気付いたのか、それを指差した。
言葉では返事せずに頷きで答える。

「これを目の前にした木兎さんの行動は予想出来るけど…。」

表情は変えずに視線だけを木兎さんの方へ動かしていた。
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