第2章 明くる日
「…つまみ食いを止めたら、こうなりました。」
「やっぱり。」
「こういう時は褒めるんでしたっけ?頼るんでしたっけ?」
何があったか説明をして、この状態から復帰する方法を聞いた。
昔、とある先輩に聞いた事はあったけど、うろ覚えで正解がはっきりしてない。
「…両方、かな。」
すぐに答えてくれたように見えるけど、赤葦さんの動きが一瞬だけ止まった気がした。
どうして知っているのか、でも考えたかな。
勘も良さそうだから気付かれているかも知れない。
「赤葦さん、きとりちゃんが私の歓迎会をするって言ってたんですけど、お酒買ってくるの忘れちゃったんですよ。」
「…あ、うん。それは困ったね。」
突然、大きな声で喋りだした私に驚いて目を丸くした赤葦さん。
それでも、ちゃんと合わせてくれた。
「私はまだ片付けもあるし、お酒は重いから力のある人に行って頂けると助かるんですが。」
ちらっと木兎さんを見る。
赤葦さんも、その意図に気付いたみたいで小さく頷いた。
「それだったら木兎さんに頼むといいよ。」
自分の名前が出た事に反応して木兎さんがチラチラとこちらを見始める。
完全にわざとらしく声を出して演技をしている私達は無表情だ。
騙される側は気付いてないようだけど。