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第28章 諦めない気持ち(木兎エンディング)


黒尾さんが来てから始まったのは、大人3人VS小学生6人のチーム戦。
数の不利があっても、春高までいった全国クラスの元選手達。
しかも1人はつい最近まで現役だった人。
大人げなく小学生チームに勝利していた。

その試合を見ている最中に、気付いてしまった事がある。
3人共、知り合いで大事な人達だ。

それなのに、私の目は、ただ1人だけ見てしまう。
この現象は、高校生の時に経験している。
私は、木葉さんを同じように見ていた。

その人の、強烈なスパイクが決まった体育館の床の音と同じくらい、衝撃的な事実。

私、木兎さんの事が、好きだ。

なんで、この人なんだ。
普通に出会ってたら、まず近付きたくないタイプで、絶対に関わりたくないのに。

あぁ、でも最近は木兎さんの事ばかり考えてて。
それは、罪悪感からだけじゃなくて、少しずつ木兎さんを意識してたからなのか。

そんなパニックに陥っている間に練習は終わったらしく、皆で帰る事になった。

どうせ集まったんだから、一緒にご飯でも食べるんだと思って帰路を歩く。

「あー…。そいや、赤葦って彼女いんの?」
「俺がりら以外の女と付き合ったら奇跡です。」
「…そのレベルかよ。りらに彼氏出来たらどーすんだ?」
「その時はその時、ですね。もし、りらを幸せに出来ないような男なら刺し違えてでも、亡き者に…。」

黒尾さんから始まった会話。
赤葦さんの目が怖い。
木兎さんを睨むの止めて下さい。

この2人、私の心境の変化に気付いてるな。

木兎さんは鈍いから分かってなさそうなのが幸いだ。

「赤葦がりらちゃん大好きなのは前からだろー。それより、どっか飯行こーぜ!腹減ったー!」

空気を読まず、話を止めてくれる木兎さん。

「…や、俺は飯パスな。ダチと約束してんだよ。」
「俺も、予定があるので。」

2人は揃って溜め息を吐いて、並んで歩いていた輪から外れる。

「もう、見逃すなよ。」
「木兎さん、鈍いからね。」

自分の気持ちが分からないまま、伝えずに失恋すんな。
気付いたなら、ちゃんと伝えろ。
そう言いたいんだろうな。

2人は私の肩をぽんっと叩いて、別の道へと歩いていった。
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