第28章 諦めない気持ち(木兎エンディング)
思った…けど。
私から聞く前に木兎さんから。
「りらちゃん、俺、就職決まったぞ!」
なんて、爆弾のような発言。
まず、前の仕事がどうなったか聞いてない筈だ。
それに、就活してたなんて、知らなかった。
あ、出掛けてたのは、それだったのかな。
考える事がありすぎて、頭がパンクしそうになって。
「木兎さん、私、何も聞いてないですが。」
一から話せ、と要求するしか出来なくなっていた。
木兎さんは、きょとんとした顔をしている。
まるで、知っている筈だとでも言いたげだ。
「えー?ココ来る前に電話した時、言ったぜ?」
「…あ。」
そうか、あの時何か言ってたの、聞き取れなかったけど、その話だったのか。
やっと納得出来た。
知ってたのに、謝りもしなかった後悔が押し寄せてくる。
仕事は、見付かったならいい、と思う。
だけど、木兎さんにとって大好きな、バレーを私は奪った。
「りらちゃん、俺があんなヤツ仲間だと思えなかったから辞めたんだぞ。んな顔すんなって!」
まるで、私の心を読んだかのような言葉。
「俺な、好きな事は諦めねーシュギだ。だから、大丈夫だって、な?」
そう言われても、あまり気持ちは晴れない。
私の所為にしてくれたら良いのに。
こんな事を言われたら、謝る事も出来ないじゃないか。
その後も、木兎さんは‘大丈夫’とか‘平気’とか何度も言ってくれた。
本当に辛いのは、木兎さんの方なのに…。