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第28章 諦めない気持ち(木兎エンディング)


先輩が悪いって言っても、暴力を振るったのは木兎さん。
会社、クビになってないだろうか。
陰湿な仕返しとかされて、しょぼくれてないだろうか。

そんな事ばかり考えて過ごすこと数日。
木兎さんから電話があった。

『りらちゃん、何日か泊めてくんね?』
「…は?」

第一声からそれで、最悪の事態が頭に浮かぶ。
疑問符を付けた音を発したまま、何も言えなくなった私に色々と言っていたような気がするけど、何も耳に入ってきていない。

『じゃ、今から行くからな!』

最後のそれだけは、やっと聞き取れたくらいだ。
気付くと電話は切れていて、終話を示す機械の音が聞こえていた。

言葉の通り、その日のうちに現れた木兎さんは、当たり前のように前の自分の部屋に荷物を設置。
何日か、なんてレベルではない事は分かる。
普通に住む気じゃないか、これ。

でも、自分の所為だと思うと気まずくて、仕事の事なんか聞けないまま、数週間が過ぎてしまった。

因みに、その間は木兎さんが練習に行った様子はない。
たまに、私のバイト中とか出掛けてるみたいだったけど、何処に行っているかは分からない。

嫌な予感が確信に変わりつつあった。

このままじゃ、ダメだ。
クビになってるんだったら、もうそれはそれでいい。
まずいのは、その後の仕事なんかを探している感じが全くしない事だ。
本当の家主が帰ってきて、いつかここから出なきゃいけなくなった時、木兎さんが無職だったら…それは私の所為だから責任を取らなきゃならない。
でも、あの人を養うだけの稼ぎは、恥ずかしながらない。

仕事を辞めているなら、その事実を知って、再就職出来るようにサポートするのも、責任の取り方。

ちゃんと、あの後の仕事と先輩との関係について聞こうと思った。
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