第28章 諦めない気持ち(木兎エンディング)
背中側のシャツが捲られて、腰を撫でられる。
気持ち悪くて、仕方がない。
「随分おとなしいねぇ。もしかして、こういうの慣れてる?あ、もう木兎にもヤられちゃってたり…。」
この、一言で目を開いて、間近にある顔を睨み付ける。
ちゃんと、自分が想える人で、自分を想ってくれる人じゃないと駄目だって解ってる人なんだ。
誰とでも出来てしまう私と一緒にして欲しくない。
でも、我慢する事を止めた訳じゃない。
だって、私の所為で木兎さんが会社にいられなくなってしまったら…。
そこまで考えて、動けなくなってしまった私と、先輩の顔の間に、手。
大きくて、ゴツゴツしてる、男らしい手の平が、先輩の顔を掴んでいる。
「汚い顔、りらちゃんに近付けんな!」
その手の主は、低く、完全に怒りを表した声を出した。
手で口を塞いでしまっているから、先輩の方は何も言えていない。
と、いうか。
口どころか、鼻も塞がってるだろ、これ。
窒息するんじゃないか。
「木兎さん、止めて下さい。」
「止めんな!りらちゃんに怖い思いさして、許すワケねーだろ!」
「大丈夫ですから、私。こんな事で、木兎さんが会社クビにでもなったら…。」
「会社なんか、カンケーねーよ!仕事は、他にあっても、俺の大事な女は、りらちゃんしか、いねーんだから。」
止めようとしても、止まってくれず。
やっと離したのは、先輩が気絶した時だった。