第27章 それから。
慣れないドレスに慣れない化粧。
それでも新婦姉として恥にはならない程度の事をして、皆が待つ玄関へ。
「…馬子にも衣装、だね。」
「月島くんも、無駄に背丈が高いからスーツがよくお似合いで。」
私の姿を見て、すぐに皮肉を言う月島くん。
誰より久し振りなのにブレない人だな。
嫌味を返すのもお決まりで、なんとなく私達はいつも言い合いをする関係になっている。
「りら、似合ってるよ。それを脱がす楽しみは俺にくれるんだよね?」
「お断りします。」
前はたまにセクハラ発言したりとか、ムッツリな行動が多かった赤葦さんは、ストーカーがバレて以来オープンである。
即答で断るのがパターン化していた。
「披露宴まででナンパされんなよ。二次会だったら護ってやるから。」
「有難う御座います。黒尾お父さん。」
「親父扱いすんなっつの。」
過保護な黒尾さんは、大体私にこういう注意をしてくる。
まぁ不用心な私がいけないんだけど、その心配のしようが親みたいだ。
「りらちゃん、マジ可愛い。このまま抱っこして連れて帰りたい。」
「木兎、りらに触んな。」
相変わらずスキンシップの激しい木兎さんは当たり前のように抱き着いてくる。
それを引き離すのは黒尾さんの役目なのも相変わらずで。
一緒に暮らしていた頃と変わらない、心地好い会話をしながら皆で会場に向かった。