第27章 それから。
25歳になった年の夏。
毎日毎日暑くて嫌になる季節。
でも、今日の私は浮かれていた。
何故かって言うと…。
「りらちゃん、準備出来てるかー?」
「木兎、女の準備は時間が掛かんだよ。少しくらいマテ。」
「俺は犬か!」
「りら、着替えに手間取るなら手伝ってあげようか?」
「赤葦さん、相変わらずデスネ。」
聞こえる声の言い合いが懐かしいから。
皆が集まっている、この状況が久々で思わず笑みが浮かぶ。
今日は妹の結婚式だ。
別に妹が結婚するのが嬉しい訳じゃない。
それを理由に皆が集まってくれたのが正直に嬉しい。
私が実家と和解した後、妹はよく私達の住む家に訪れていた。
だから、皆ともそれなりに親しくなって、二次会に招待したようだ。
新婦が男を招待ってどうなんだって感じだけど、そういうのを気にするような妹じゃなかった。
多分だけど、私の為っていうのもある気がする。
私が気を許せる皆と、また一緒に過ごせる時間を作ってくれたような。
木兎さんが言ったみたいに、そんなに悪いコじゃないのは、最近の付き合いでよく分かってる。
私は姉だから挙式、披露宴からで、皆とは時間が合わない筈なんだけど、少しだけワガママを言わせて貰った。
折角皆が揃うんだから出来るだけ長く一緒にいたいです、と。
どうせ休みをとるんだから、と皆は了承してくれて挙式に向かう今から行動を共にする事になった。