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【HQ】sharing.

第27章 それから。


まずは木兎さん。
大学の卒業が危ぶまれていたようで、ギリギリまで就職なんかの話はしてこなかったけど、なんとかなったようで。
電機メーカーの実業団からスカウトがあり、翌年に寮に入る為に家を出た。
だから、実質一緒に暮らしていた期間は1年に満たない。
遠征とかのない日は家に来たり呼び出してきたりで、顔を合わせる事は未だに多い。

黒尾さんの方はバイトをしていたバーの系列だったホテルに就職が決まった。
職場になる場所は、この家より実家の方が近かったようだけど、何故か木兎さんより半年くらいは長くこの家にいた。
出ていってた後も、休みがあると度々家に顔を出しては食事を一緒にしたりしているから、あまり離れた気はしない。

赤葦さんは、木兎さん、黒尾さんより1年後に就職。
予想通りといえば予想通りの展開で、家の近くの職場を選んできた。
この人の基準は相変わらず私だ。
月島くんと同じ年に、
『流石に2人きりは理性が、ね。』
なんて出ていくのは危害を加えない為のようだけど、ここまで執着されているのはやっぱり怖い。
しかも近場で一人暮らしを始めたものだから、ご飯だけ作って、なんて食費を私に今も渡してくる。

月島くんは、就職を期に宮城県に帰った。
今ではたまに電話をくれるくらいだ。
東京には中々来れないようで、会う事はないけど私を気にしてくれているのは分かる。
それに気付いてしまうと、用事もなく嫌味な事を言うだけの電話が少し楽しみだったりする。

皆は環境も生活も変わって、それぞれの道を生きている。

広い家で独り暮らしにはなったけど、誰かしらご飯を食べに来たり、呼び出してきたり、電話をしてきたり。
やたらと構ってくれる皆のお陰で淋しい思いはしていない。

…と、まぁこんな感じで独り語りをしてしまうくらいの暇潰しも覚えて、気楽に暮らしていた。
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