第27章 それから。
私の家出事件から、もう4年程経つ。
あの日、木葉さんと一緒に出ていったと思われていて、倒れている私が発見されたのは朝方だったとか。
元からの寝不足もあって目が覚めたのは夕方で、その時にはきとりちゃんやリエーフはすでに帰ってしまっていた。
木葉さんが私との連絡を断とうとしているのは皆も分かっていたようで、最後に私達が何を話したかも聞いてはこなかった。
寧ろ、わざとらしいくらいにその名前を私の前で出す事がなくなった。
そして、その予想の通り木葉さんから連絡がくる事はなかった。
一度人を傷付けたと分かっている言葉を、故意に吐いたのはいけない事だ。
誰が悪いかと聞かれれば、それは木葉さんの傷を抉った私だ。
昔と違って連絡先も、勤め先も分かっていたけど、そう思うと自分からも連絡は出来なかった。
皆の夏休みが終わって、独りの時間が増えた頃。
ただ携帯のメモリーに残された名前を見ている事が多くなった。
自分からも連絡しない。
それを決めたのも勿論自分だ。
そのままじゃ、頭がおかしくなってしまいそうだったから、秋口からバイトを始めた。
スーパーにある鮮魚コーナーの裏方、人付き合いの苦手な私には黙って魚を捌けば良い仕事は合っていたようで。
バイトは今でも続いている。