第26章 2度目のサヨナラ
話には加わりたくない。
黒尾さんときとりちゃんが知り合いだったのは、やっぱり偶然だったけど。
2人を再会させたのは赤葦さん。
しかも、私の親戚である彼女と知り合う為に、だ。
赤葦さん、ホンモノのストーカーじゃないか。
「なんか、おかしくね?赤葦、下手したら全て計算の上で熊野を手に入れようとしてたかも知れねぇのに、なんで普通に話せンだよ。」
そういう意味では多分常識的な考え方をしている木葉さんが怪訝そうな顔をしている。
リエーフは話についていくのすら断念したようで、黙っていた。
「赤葦がりらちゃんのコト、なんか知ってんなーって分かってたし。」
「まぁ、これ程の事をしていたのは予想外でしたケド。本当にりらを手に入れようとしていたなら、確実なのは父親づてに知り合う事ですし。」
「センパイがりらをこの家に呼んだのは偶然だからな。こんな、身近な人間になるつもりハナからなかったんだよ。あの、冷静な赤葦が執着心丸出しで、何か隠してんの、木兎にまで気付かれるレベルだぜ?」
「ま、許せる一番の理由はりらに危害を全く加えてないから、だね。…誰かさんと違って。」
皆が別々に喋っているのにちゃんと続いた話になる団結力が逆に怖い。
最後のきとりちゃんの台詞でほぼ同時に木葉さんを睨んでいた。
木葉さんがスピーカーって話もすでにされているようだ。
「…え。コレまさか、俺がサイテーって話のオチ?」
「そうなりますね。木葉さんはりらに間接的であれど、危害を加えてますから。」
皆から逃げるように体を後ろに引いた木葉さんに赤葦さんのトドメの一言が刺さる。
明らかに顔色を悪くして固まってしまった。