第26章 2度目のサヨナラ
リエーフときとりちゃんが何かやり取りをした後、ラッピングされた袋を胸元に押し付けられるように渡された。
「コレやるから、着てって。」
「何コレ?」
「水着。」
「…は?」
袋の中身を知って驚いた。
こうなるのを予想していた訳じゃないだろうし、私が水着なんか欲しがるとでも思ったんだろうか。
リエーフの事だから単に私に着せたいだけのような気がする。
「他の人の前で先に着ていいの。」
「うー…。それは嫌だけど!代わりにプールデートして貰うから良い!」
浮かんだ疑問がそのまま口から出る。
勝手にデートを約束されてまで欲しい訳じゃないけど、この場から逃げる為には受け入れなきゃならない。
頷きで了承を示すとリビングから出た。
風呂場に向かう廊下を歩く途中、前方に人影。
それは勿論、風呂に追いやった2人なんだけど問題はその格好だ。
タオルを腰に巻いただけの状態なのだ。
2人とも私に気付いたようで、立ち止まっていた。
「…マジ勘弁してくれ。赤葦と強制風呂の挙げ句にこの羞恥プレイって…。」
「着替え持ってなかったからね。木葉さんには取り合えず俺の貸すから。」
2人の反応は対照的で、赤くなった顔を隠す木葉さんと、聞いてもいない事を淡々と説明する赤葦さん。
「そうですか。」
他に反応のしようがなくて一声だけ返すと、2人とすれ違って脱衣場の方に入る。
水着の必要はなくなったから、普通に風呂に入ったけど、自分も着替えを忘れていた事に気が付いた。
仕方なく、さっきの2人のようにタオル1枚で部屋に戻る。
こんな事が恥ずかしげもなく出来てしまうのは、相変わらず羞恥心が足りない証拠だ。
体が暖まった事で、更に眠気が増したけど寝る訳にもいかず、落ちてしまう前にリビングに戻った。