第26章 2度目のサヨナラ
手加減しているのは分かっているし、巻き込まれたくないから助けずにその様子を見守る。
「りらもな、コイツに気ィ遣うな。あぁいうのは嫌だって言ってやれ。」
どっちにせよ、黒尾さんによって巻き込まれたけど。
嫌じゃない場合はどうすればいいんだ。
「…そういえば、さっきの赤葦さん達の話なんだけど。」
私が返答に困っているのに気付いたのか、月島くんの助け船。
あんまり有り難くない方向に話が逸れる。
それは皆も気になっていたのかリエーフに対する攻撃を止めて、揃って私を見てきた。
「腕がやっぱりベタベタするので、私もお風呂行ってきます。」
私から答えていい話じゃない。
2人の様子も気になる事だし風呂へと逃げようと立ち上がった。
「いやいやいや、お前、何考えてんの?」
「りら、いくら赤葦さんや木葉さんが下手に君に手を出さないからって、我慢大会でもさせる気?」
黒尾さんと月島くんに止められる。
まぁ、当たり前だ。
「風呂なら後で俺と一緒に入ろうぜ!」
「りらは俺と入るんで。木兎さん引っ込んで下さい。」
木兎さんとリエーフの反応も予想の範疇内だ。
一番怒りそうな人が何も言わないのが逆に怖い。
「…灰羽、さっきの今渡したら?裸で風呂行かれるよりマシでしょ。」
やっと喋ったと思ったら、私には意味の分からない言葉で。
何か企まれている気がして眉を寄せる。
「だから、りらは俺と入るんですって!」
「あのりらにちょいちょいセクハラかます赤葦と風呂、なんて何か考えがあるに決まってるでしょ。どうせ、止めても聞かないからせめて全裸にならない方向で。
逆に渡すチャンスよ?普通なら受け取り拒否しかねないものだけど、今なら必要なんだし。一回着たら返せないんだから。」
リエーフが抗議したけどきとりちゃんが聞く筈はない。
失礼だけど、赤葦さんがセクハラムッツリスケベなのを完全に忘れていた、なんて言える訳もない状態だ。