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第26章 2度目のサヨナラ


不意に反対側の手に布の感触。
振り返ると月島くんがタオルを押し付けている。

「早く拭いたら?絨毯汚されると迷惑なんだけど。」

いつ、タオルを取りに行ったのか。
いつ、近付かれたのか。
それすら分からない。
眠気が優先されているのか周りの状況が見えてない。

「…ごめん。」

気を遣わせたから謝ったけど、月島くんは微妙な顔をしている。
また、やってしまった。
今回もお礼を言う場面だったみたいだ。

「リエーフ、拭くから離して。」
「俺がキレイにしてやるよ?」

タオルがあっても、離してくれる気にならないようで、スケベ親父みたいな発言をしたリエーフは、あろうことか私の指先を口に入れた。
下手に動かして、噛まれたりしたら厄介だ。

「灰羽、君って獅子じゃなくて犬かなんかなんじゃない?ご主人様ダイスキでペロペロ舐めて。りらが困ってるの、分からない?」
「りら、こういうの嫌か?」

不思議と不快感は無かったけど、溢したものを舐めるとか、犬や子どもみたいとは思う。
嫌じゃないから、なんと言えば良いか分からなくて、離して貰いたいと示すように腕を引くと、今度は簡単に離してくれた。
リエーフは、悲しそうな顔をするでもなく、私をじっと見ている。

「嫌じゃないけど、タオルあるならこっちで拭くから。」

やっと出たのは、こんな言葉だけ。
リエーフはあんまり気にしてないようだけど、自分の口下手さに呆れる。

腕を拭きながら状況把握の為に周りを見回す。
料理を挟んで反対側の方できとりちゃんと黒尾さん、2人に押さえ付けられている木兎さんが見えた。

「灰羽ー!よくも俺のりらちゃんにー!」
「木兎、ダメ!殴りたいのは分かるけど、アンタの力でやったら怪我するから!」
「リエーフ、一応モデルなんだぞ?商売道具に傷付んのはナシだ。」

成程、木兎さんがリエーフの行動に怒っているのか。
2人掛かりじゃないと止められない木兎さんのパワーは凄いと思う。

「一応ってなんすか。本物のモデルです!」

自分を庇ってくれているとも知らず、何やら言い返しているリエーフも相当凄いと思った。
その空気を読まない発言によって木兎さんを解放し、近寄ってくる3人。
結局、リエーフはクッションで殴られたり、軽く頬を摘まれたり、皆にやりたい放題されていた。
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