第2章 明くる日
「ただいま戻りました。」
「言い方堅い。普通にタダイマ、で良いだろ?」
扉を開けて、帰ってきたと示す挨拶をする。
玄関で、突っ込みのように頭にチョップされた。
声が聞こえたのかリビングから木兎さんが顔を出した。
「おかえりー。荷物持つぜー!俺って良い男ー!」
ふざけた事を言いながら私が持っていた方の袋を掴んでリビングに戻っていく。
「おい!俺のが荷物持ってんだけど!こっち手伝えよ!」
先に引っ込んだ人を追って黒尾さんもリビングに入っていった。
脱いだ靴を揃えて自分もリビングに入る。
買ってきた食材は袋ごとカウンターに並べられていた。
キッチンに入って袋を漁り、昼食の材料を取り出す。
リビング側の二人がテレビを見ながら談笑する声をBGM代わりにして調理を始めた。
一時間程で完成したハンバーグと付け合わせ、炊き上がったご飯をカウンターに並べる。
「自分の分、取って下さい。」
キッチンから声を掛けると二人ともカウンターに近付き、料理を運び始めた。
「飲み物はお茶で良いですか?」
「おう。」
「俺はビール!今日は何もねぇから。」
「昼から飲むな。夜はりらの歓迎会やんだぞ。」
アルコール飲料ばかりの冷蔵庫から唯一と言っても過言ではないノンアルコールの飲み物を取り出しながら、二人の楽しそうな会話を聞いていた。