第2章 明くる日
そう、隠すつもりはない。
軽蔑されてもいい。
だけど、同情されるのは嫌だ。
「悔しくねぇの?」
返ってきた言葉は、軽蔑でも、同情でもない。
ただ、私の意思を確認したがっているようだ。
「悔しい、と言うより惜しい事をしたなと思ってます。そんな事で終わりかって。もう少し忍耐力だとか、そういう話を流せる話術があればな、と。」
「そっか。」
それで話は切られた。
スーパーに辿り着くと、カートを押しながら食品売り場を回る。
買い物をしている間は無言だった。
まぁ、私は食材の鮮度を見ようとしたり、金額を計算してたりしてたから話し掛けられても困るけど。
夜の分の材料まで買って来た道を戻っていく。
荷物は半分以上、黒尾さんが持ってくれていた。
「…あの。さっきの話は皆さんにもした方が良いんでしょうか?」
一緒に暮らす、と言うなら相手は黒尾さんだけではない。
流石にペラペラと誰にでも話せる内容ではないし、出来れば言いたくはない。
「あー…。別に良いんじゃね?聞かれたら人間関係拗らせて辞めた、ぐらいで。」
「黒尾さんみたいにぐいぐい聞きに来る方、他にはいなさそうですしね。」
帰り道の会話は、行きより重くはならずに家まで戻れた。