第26章 2度目のサヨナラ
流石に片付けは私の仕事だ。
作った料理が多かったから、片付けの量も当たり前のように多い。
私がリビングに出た頃にはすでに宴会が始まっていた。
テーブルだと椅子が足りないからか絨毯に料理を置いて、それを囲むように皆が座っている。
私に気付いた月島くんが、テーブルを指差した。
「…りら、それケーキだから冷蔵庫入れといて。」
示されたのはテーブル上に乗っていた箱。
それくらい自分でやって頂きたい、とは思ったけど言い返されても面倒だから口には出さない。
気付かれないように小さく息を吐いて箱を持った。
「りらが好きそうなの入ってるから、後で食べたら?」
あ、コレってもしかして好きなもの探しの一環か?
金の掛かる事をするな、って言ってあるけど、それは木兎さんとか月島くん、リエーフは聞いてないだろうし。
でも、そのテの賭けにノった事のない人だから真意が分からない。
「…有難う。」
「ドーイタシマシテ。」
意図は分からなくても、食べてもいいと言う事なので、取り合えずお礼を言う。
棒読みで言葉を返してきたけど、すぐに顔を逸らす姿に照れを感じた。
やっぱり、プレゼントのつもりだったんだと理解するとこっちまで照れ臭くなる。
顔には一切出ないのが救いだ。
「うわぁ。サラッとあのりらにプレゼントしたよ。モテる男は怖いねぇ。」
「…皆さんの分もありますケド。」
「普段は人の分のケーキなんて買って来ないクセにー。」
「別に…気紛れで。」
「ツッキー照れんなって!」
「照れてマセン。」
黒尾さんがからかい始めると、相変わらず悪ノリするきとりちゃんと木兎さん。
ふざけたやり取りを聞きながら冷蔵庫に箱を入れて、皆の輪に近付いた。