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第26章 2度目のサヨナラ


家に帰ったのは夕方より少し前。
どうせ、皆が集まればまた宴会になるからアルコールは気持ち多目に買ったけど、問題は料理の方だ。
いつもより人数が多いし、時間はあまりない。
私1人で作るには限界があるから、木葉さんに手伝いを頼んだ。
朝は手伝って貰うつもりだったし、職人やってるなら手際だって良いだろう。
キッチンに入れても邪魔になる事はない筈だ。
一番の理由はやっぱり木葉さんの料理を見てみたいからなんだけど。

「…あ、やっぱ。」
「なんですか。」

2人で作業をしていると気付いたように声を出した木葉さん。
意味が分からず顔を見ると視線で手元を示されていた。

「いや、なんか熊野に違和感あるなって思ってたんだが、矯正したか?」
「…はい。」

言われたのは多分利き手の事だ。
元々、私は左利きである。
高校時代は左手でシャーペンも箸も使っていたの、覚えていてくれたんだ。
なんか、嬉しい。

女性というハンデを背負った私が職人の世界に飛び込む為に不利な利き手を矯正するのは変な話でもない。
まぁ、私の場合は矯正と言うより左腕を怪我して強制的に使えなくなった時期があったから、右利きになったんだけど。
わざわざ怪我しただとか、心配させる必要はないから言わない。

調理中の会話はそんなもので、後は黙々と作業をしている内に他の皆も帰宅したようだ。
リビングの方が騒がしくなってきた。

作り上がった料理をカウンターに乗せると、リビング側の誰かが運んでいく。
それを何回か繰り返して用意を終えると木葉さんには先にキッチンから出て貰った。
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