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第25章 病的なまでの愛


あれだけ平等を重んじて、皆と気まずくなる事を避けてきた赤葦さんが、自分からあの家の輪を崩そうとしている。
そんなの、あってはいけない。

「赤葦さん、人生なんて…そんな大それたものを考えていた訳では…。」
「学校側からの退学処分、なんて後に響く問題だよ。たまたま停学で済んだけど、可能性がある事くらい分かってたでしょう?
りらは職人という学歴の関係がない職業を選んだけど、普通なら就職の妨げになる。仕事って人生に関わると思わない?」

貴方が思うような女じゃない。
そう、伝えて止めようとしたけど。
赤葦さんの中で美化されてしまった私のイメージが壊れる事はないようだ。

「ここまで話したんだから、最後まで言ってしまおうと思ったけど…。りらを困らせるような事、俺は出来ないから、これ以上は言わないでおくよ。」

やっぱり、告白するつもりだったのか。
でも、止めてくれた。
他でもない、私の為に。

安堵すると同時に罪悪感が襲ってくる。
私は、同居人の皆に気を許しすぎて変に期待させてしまってる。

「あー…。なんか、悪ィ…。」

自己嫌悪に陥りそうになった思考を止めた木葉さんの声。
今の状態で、木葉さんが悪い事なんかしていただろうか。

「いや、赤葦が熊野の事、知ってんの分かってたから、な。てっきり、あの家に住んでんのも何か、やったんじゃねぇかなーって。」

ばつの悪そうな顔をして頭を下げている。
それに対して赤葦さんは、笑っていて。

「熊野きとりが、りらの親戚だと知って同居の話を受けたのは間違いありませんね。」

本日、一番の爆弾発言を落とした。
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