第25章 病的なまでの愛
「俺、りらがイジメられてる事も、知ってました。動画は、木葉さん達がいた頃から広まっていたので。」
誤魔化すのは無意味。
その言葉を表すように、赤葦さんはまた話を始めた。
「だから、りらが下手をしたら退学になるくらいの嘘を吐いたのが、分かったんです。でも、何故りらが嘘を吐いたのかは分からなかった。」
「…分からなかったなら、何でだよ?」
木葉さんが口を挟んだ。
話してくれているのだから、黙って聞けば良いのに。
それにムッとしたのか、赤葦さんの眉が少し動く。
「…木葉さん、卒業式の日に必要ないってフラれたって言ってましたけど。」
「人の傷を抉るな。つか、話逸らすな。」
「もしかしたら、熊野りらは木葉さんを好きだったんじゃないかって。」
「ソレ今関係ねぇだろ。俺のガラスのハートが砕けるわ!」
「だから、熊野りらは嘘を吐いた。木葉さんがいたバレー部を護る為に。」
「ねぇ、シカト?泣くぞ、マジで。」
話の腰を折られたから仕返しでもしているのかと思ったけど、どうやら違うようだ。
私の心情は知らなくても、そこまでは予想が付いていた、と話したいらしい。
淡々とマイペースで話を続ける赤葦さんと、突っ込むように所々で口を挟む木葉さん。
ふざけているのか泣き真似までしているけど、赤葦さんは無視をして私を見ている。
「想像でしか、なかったんだ。でも、その結論に考えが到った時、人生を変えても護りたいものがあるりらに憧れた。
俺は、どちらかと言うと面倒事は避ける方だし。人生が左右されるような事、人の為には絶対に出来ない。」
もう、完全に木葉さんの存在自体を忘れてしまったようで、私に話し掛けにきている。
なんか、これ…。
告白されるパターンのような気がする。
でも、私は赤葦が思っているような人間じゃない。
その時の私は人生を賭けたつもりなんか、全くなかったから申し訳ない気持ちになった。